DJ shiki_game 's propaganda

音楽について広く扱うブログ

『交響曲第9番』のオリジナルについて探る―英文記事を読む

f:id:DJ_shiki_game:20200317191746j:plain

 今年で生誕250周年を迎える「楽聖ベートーヴェン音楽史上極めて重要な人物であり、知名度は非常に高い。彼の代表作である『交響曲第9番ニ短調作品125』(通称『第9』)は、一度は耳にしたことがあるだろう。

  『第9』については、現在でも研究が重ねられている。特に、オリジナルの楽譜とは一体どのようなものだったのかについての研究は、注目の的である。『第9』の楽譜については、ベートーヴェン本人が友人への手紙で明かしているように、多くのバージョンが存在しており、実態解明が進められている。最新研究によれば、所謂『歓喜の歌』は、バリトンパートから始まり、それに続けてバスバソンパートがバリトンにユニゾンするのがオリジナルだという。よく知られている『第9』楽譜では、バスバソンのパートは書かれていない。というのも、ベートーヴェンの自筆楽譜では、バスバソンパートは余白に書かれていてわかりにくかったためである。

 また、本来ならば『第9』に『歓喜の歌』は付属しないはずだった。『第9』は、かつてのベートーヴェンの生徒であり、友人でもあるフェルディナント・リースのプロデュースで発表されたものである。当初リースは、ベートーヴェンが楽器オンリーの交響曲を作るものだと思っていた。しかし、ベートーヴェンはそれを無視し、合唱や独唱を含んだ交響曲を作り上げたのである。リースは困惑したものの、初演は大成功だった。なお、『第9』の完成は予定よりも遅れ、初演の場所もロンドンからヴィエナに変更されている。

 現在、『第9』はヨーロッパ人にとってのアンセムの一つとなり、『第9』の自筆楽譜はユネスコ記憶遺産に登録されている。しかしながら、ベートーヴェンの本意については議論の余地があり、「本当の『第9』」はまだまだ見えてきていないのが現状だ。今後の研究の進展が楽しみである。

 

元記事

www.dw.com